気がついた時、
私が居たのは狭い真っ暗な場所。




……柔らかい……。





えっ?




慌てて、その場所から飛び起きようとして
頭を打ち付ける。




「やっ、やばっ」



その人は舌打ちをした後に言うと、
私を軽々と抱えてその場所を走っていく。




「はっ、放して!!」



暴れる私の口元を塞いで走り続ける。




えっ?

屋根?





その人に抱かれたまま
キョロキョロと周囲を見渡した私は、
私を抱く人が屋根の上を走っていることに
気が付いた。 





「やっぱり。

 だよなぁー。
 ばれてたよなー」





私を抱いたまま、
小さく独り言を呟く。




「あっ、あの……。
 何が?」

「あぁ。

 今、ちょっと待ってな。
 取り込み中だから。

 ちょっと、怖いかもだけど
 オレのこっち側にしがみついててな」



何が何だか、わからないままに
言われるままに、その人の体に
しがみつくと背後で……何かが風を切る音を感じた。



私を抱きながらも屋根の上をかける
スピードの速度が落ちることがない。


それよりも益々、スピードが上がっていくようで。