守りたい。


守りたい……守りたい。




晋兄や義兄を守りたい。



その思いは揺るぐことはないのに、
どうして守ろうとしているのかわからない。



想いだけが空回り続ける私なんて……要らないよ……。




強くなりたい。



『そう……。

 もう泣き続けるだけの、
 後から知らされるだけの私なんて
 嫌だから……』




心の中から湧き上がる声。





あっ……まただ……。




時折、感じる
頭がズキズキと痛みだすこの感覚。





不快感を必死に押し殺しながら、
ただその場に居座り続ける私の耳に
届いてくる沢山の情報。






「桂さん、表で望月亀弥太が自刃しました。

 池田屋にて捕縛されたものは四名。
 討ち取られたものは、九名。

 討ち取られた者の中には、

 吉田稔麿
 北添佶摩
 宮部鼎蔵
 大高又次郎
 石川潤次郎
 杉山松助
 松田重助の存在も確認できたとのことです」






つらつらと告げられる名前を耳にしながら、
それぞれに声を荒げていく浪士たち。



吉田……稔麿……。



栄太郎さん……
あの人も逝っちゃったんだ……。



以前に会ったことのあるその人の名前……。




晋兄も義兄も悲しいんだろうな。




新選組の人たちが、
晋兄たちの仲間を殺したんだ……。





決して……相容れることのない
対極の場所に自分たちの居場所があるんだね。