少ない近藤部隊を更に裏門を守る側と、
正面から切り込む側に素早く分けられる。


安藤さん、奥沢さん、新田さんらは
近藤さんの指示の後、裏門側へと移動していった。



「山波君。覚悟はいいか?
 ここから先は戦になる。

 歳たちが合流するまで斬り捨てで構わん。

 突入する」


近藤さんに問われた言葉に頷くと、
沖田さんと藤堂さんが池田屋のドアを開け放つ。


「主人はいるか?

 会津藩お預かり、新選組。
 宿改めである」


開け放った途端に、
あの有名な事件が目前で映し出される。



奥からゆっくりと顔を出した主人は
ゆっくりと会話をするように時間を稼いでいく。



その時、部屋の周囲を物色していた
沖田さんが、布を引きづり落とす。



「近藤さん」



武器を確認した近藤さんは、
二階へと続く階段を静かに歩いていく。



それに続く沖田さん。






途端に二階の方が騒がしくなって、
刀と刀がぶつかり合う音が耳につき始めた。





私も殺らなきゃ。






殺らなきゃ、帰れない。




沖影力を貸して……。




そう念じて、沖影を鞘から抜き放つと
二階から飛び降りてくる羽織を着ていない人たちを
目がけて、切り込んでいく。



「平助、お前はこっちを任せた。
 俺は庭に出て蹴散らす」



そう言うと、永倉さんはすぐに庭へと飛び出していく。


私も必死に沖影で必死に刀と刀をぶつけ合っていく。


その時、背後で藤堂さんの額から血が吹き出す。



「藤堂さん」



叫びながら、目の前の人の腹部を
真正面から一突きにして沖影を抜き取ると、
返り血を衣に浴びながら目だけを覆う。


目に血が入ったら見えなくなる。


藤堂さんがやられた一説には鉢金がずれて、
視界が遮られたところに額を斬られて
その血が目の中に入ったって綴られてる文献もあった。



返り血から目だけを庇って、
そのまま二階へと駆け上がっていく。



二階からは、入れ替わりで
階下へ降りていく近藤さんの姿。