総司はと言えば最初は私の隣に座ってるんだけど、
次第にウズウズしてくるのか、剣を抜くと、
峰打ちにして隊士たちの中に飛び込んで行っちゃう。


そのまま勢いが止まらなくなった総司は、
その場に居る隊士たちを峰で一撃食らわせてボコボコにしちゃうと
そのまま隊士たちを指導していた、藤堂さんたちと強制手合せ。


藤堂さん、原田さん、永倉さんたちを相手にしても勢いは留まらなくて。

リミッターが解除されちゃった総司の相手は、次は斎藤さん。


剣を振り続ける彼は、童心のようで……
生き急いでるみたいで……そして見えない何かに日々、
追われているようにも感じられて。



お互いの刀と刀が、
金属音を放ちながら交わっていく。


同時に双方の腹部に柄がめり込んだとき、
その場で倒れこむように膝を折って崩れる総司。



斎藤さんは、かろうじて立っているものの
その息は、少し上がっているように思えた。



ってか、アンタたち一体何時間、
打ち合い続けられるのよ。




そう言いたくなるほどに、
剣の稽古だけで日が暮れていく。



だけど……こんな時間がずっと続いてほしいって
今は心から思えるんだ。




この世界のことが最初は、嫌で嫌で仕方なかった。

ずっと帰りたくて帰りたくて仕方なかった。



今も現代にいる家族のことは気になる。



私は行方不明になってない?っとか心配かけてないとか?



だけど、いつの間にかこの世界も
私にとっては大切な存在になってる。






井戸に行って冷たい水をくみ上げると、
手ぬぐいを濡らして、
総司の汗をゆっくりとふき取っていく。





地面に大の字で転がってる総司は、
少し伸びをして、ゆっくりと起き上がる。