山南さんを見つめながら、
遠く現代にいる、
お祖父ちゃんを思い起こす。
この人が私のご先祖様。
お祖父ちゃんの曽祖父。
嘘みたいだよ。
目の前にいる、
山南さんはまだこんなにも若いのに。
少しでも山南さんの痛みを取ってあげたい。
こっちに戻ってくるときに、
現代の薬、どうして持ってこなかったんだろう。
せめて薬さえあればこんなにも魘されずに
すんだかもしれないのに。
手を握るしか出来なくて、
眠る山南さんの手を両手でギュッと握りしめる。
ただ……今はもう一度、
心から笑いかけて欲しくて。
ふと、ゆっくりと襖が開かれる。
慌ててその方向へ視線を向ける。
「なんや、焼けるなぁー。
花桜ちゃんに、
そんな表情させて」
そう言いながら姿を見せたのは、
山崎さん。
「仕事は?」
「さぼってないで。
これも立派な仕事やさかい」
そう言うと、足音も立てずに山南さんの傍に座ると、
傷口の包帯に手をかける。
「別にそうやって、 山南さんの手握ってたかったら
握っとってもええけど傷口酷いから、覚悟してや。
嫌やったら目を背けてたらええ」
そう言いながら、真剣な眼差しで包帯を外していくと、
傷口を消毒してもう一度、新しい包帯を巻きなおしていく。
「山崎さん助かりますか?」
「そうやな……」
山崎さんの言葉はその後、続くこともなく
いつものようにおちゃらけて言うこともなかった。
沈黙が広がる世界。



