「あっ、何々。
やっぱり花桜も舞も早すぎだよ。
せっかく、早起きで来たと思ったのに。
おはようございます。
井上さん」
そう言いながら、姿を見せたのは瑠花。
そしてやっぱり……その後ろには瑠花のボディガード。
沖田総司。
やっぱり私には何を考えてるかわからない、
とっつきにくい人なんだけど瑠花にとっては多分、
この世界を一緒に歩いて行ける人なんだよね。
「あっ、私手伝います。
花桜、見ててよ。
私も大分、ここの台所にも慣れたんだから。
ピーラーがなくても皮も向けるようになったし」
そう言って、井上さんの持つじゃがいもを
するりと奪い取っては、剥きはじめる。
お世辞にも、上手いって言えるものじゃなくて
見てる方が心臓に悪いんだけど、
現代に居た時は、爪が割れるから料理はしたくない。
っとか言ってた瑠花にしてみたら随分な進歩。
その隣、同じようにじゃがいもの皮をむいてる
沖田さん。
料理出来るんじゃん。
ただ一度、偶然つけた時代劇の中、沖田さんは
料理が下手くそな設定だったのか鍋が焦げて、
火事寸前になってた。
あのインパクトが強烈だったんだけどな。
朝餉が出来て、順番に並べ終った時、
朝稽古を終えた、隊士たちがずらずらと、
テーブルの前につく。
だけど……そこに……山南さんの姿はない。
私の不安は的中してる。