目を開けると、
その場所は私の部屋。



先ほどの打ち合いで出来たらしい、
打ち身が……ちょっぴり響く体を
ゆっくりと起こす。




夜?





真っ暗な暗闇に絶えられず、
部屋の蝋燭に灯りを灯した。






「加賀、入るぞ。

 粥を持ってきた」





声の主は斎藤さん。







こんなユメの後だからか、
まともに顔が見れなくて
私は再び、布団の中へと潜り込んだ。




あれっ……。

この手ぬぐい……。




冷たさがなくなったて、
てふぐいが布団の中から姿を見せる。




「熱はさがったか?」



熱?



額に伸びてきたその掌が
肌に触れた途端に、
体が反応する。






「粥を食べてもう少し休め」





お粥と共に、
置かれた薬湯らしき器。





「ねぇ?

 これも飲むの?

 ほらっ、こんなの飲まなくても
 風邪薬ない?」



お粥は、少しずつ減っていくけど
その先の薬湯は、無理だよ。


絶対無理だって。



あんな色したの、
飲めないから。




あんなの飲んだら、
その時点で、
私、死んじゃうから……。




なんて思いながら、
お粥だけ平らげて
そのまま布団に
潜り込もうとしたら
それを止められた。




あのユメを意識しすぎて、
彼の顔がまともに見えないって。





「飲ませてやる」






えっ?


覚悟も何もないままに、
彼の顔がゆっくりと近づいてきて、
唇同士が重なると、
あの液体が流し込まれてきた。




んん、無理っ。




その場でもがこうとしても、
逃げ道はなく、
外から促されるままに
その薬湯を飲み下した。




「うげぇー。

 お茶、飴っ、和菓子。

 何でこんなマズイもの飲めるのよっ。
 口直ししないと
 やってらんないじゃない」 




思わず怒鳴った私に、
差し出されたのは、
金平糖。



慌てて差し出された金平糖を
二・三個一気に掴むと口の中に放り込む。




口の中に広がっていく甘さが、
ほっこりさせてくれる。




そんな私を見て、
彼は……頬を緩ませて笑ってた。