この世界に来てから、ずっと必死だった。
晋兄や義兄と一緒に居た時から今日まで。
花桜が消えて……瑠花が落ち込んで。
そんな瑠花も何時しか沖田さんと、
親しくなったみたいで次第に
私の居場所は、なくなってきた。
自分の居場所を見つけるのは、
簡単なようで、とても難しい。
どうして私は
今もこの場所に居るのだろう。
この場所から抜け出して、
晋兄や義兄たちを本当に探しに行こう。
何度も脳裏に浮かんでは、
それを否定しようとする自分も居て。
そんな決断力が覚束ない自分にも、
思うように動かせない体の怠さにもイライラして。
ただ……竹刀を手にして、
延々と素振りを続ける。
花桜が居たら打ち合いくらい出来るのに。
竹刀を振り上げて一気に振り下ろす。
勇み足から順番に
型を辿るように素振りしていく。
そんな時、花桜が帰って来たと、
屯所内がにわかに騒がしくなった。
「花桜っ」
慌てて、花桜に逢いたくて駆け出す私は
ぶつかって躓いて。
「痛ったぁーいっ!!」
「大丈夫か?
余所見をするからだ」
ゆっくりと手を伸ばしてくれた人は、
また……いつものあの人。
斎藤さんだった。