そう思うと、
胸が締め付けられるように痛くなった。



「あの人は……ズルイよ。

 僕の願いは叶えてくれた。

 僕は……近藤さんに隊の一番になって欲しかった。 
 僕の願いどおり、近藤さんは浪士組の一番になった。

 だけど……大きすぎる。

 あの夜、芹沢さんと対峙した時あの人は言ったんだ。

 土方さんに聞き取れないほどの
 小さな声で、対峙する僕の耳元で……。


 『沖田、俺を殺せ。
  そして背負え。
  俺がお前に刻んだ対価を……』って。


 試衛館の皆に、認められたい。

 一人の剣士として……受け入れて欲しい。

 その故に……僕はあの人を殺す。
 あの人の望みのままに。


 そして……あの人の死を知ったお梅さんは……
 僕が手にした刀の切っ先だけを強引に掴んで、
 その場で首を突き刺した。

 刺し口が浅くて……とても苦しそうな表情で
 僕を見つめたから絶命させてあげた。


 あの人の傍へと、寄り添えるように」







そうやって語る沖田総司の声は、
今も震えて……心が泣いているのが伝わってくる。
  

そんな彼が……今はとっても小さく見えた……。



静かに声を殺して泣く彼の体をただ、
ぎゅっと抱きしめる。



少しの抵抗を見せたその体も、
やがて私の腕の中でおとなしくなって……
やがて……僅かに体を預けてくれたのを感じた。





大人に早くなろうと……
頑張りすぎちゃったんだね。






もう苦しまなくていいよ。









それでも、必死に今を歩いてる貴方を見てるから。



ほんの少し、この世界の沖田総司に近づけた気がした。


やっぱり総司を憎むなんて出来ないよ。


小さい頃から、
大好きな憧れだから……。