こんな書き方しないでっ!!




怒りに任せて分厚い本をパタンと音とたてて閉じると
周囲からは、ギロリと騒音をたてるなとも言わんばかりの視線が突き刺さる。



私はそのまま先ほど手にした本を棚に戻すと、
図書館を飛び出した。




やっぱり違うよ。



ここは私が居るべき世界じゃないよ。







図書館を飛び出して、自宅の隣の道場へと戻ると、
敬里が、お祖父ちゃんに稽古をつけて貰ってるところだった。



何度も何度も、お祖父ちゃんと打ち合っていく
敬里を見つめながら、私は一度自分の部屋に立ち戻る。





強くならなきゃ。



大切な人を守れるように。


だけど……その強さは飾りの強さじゃダメ。
真剣で……命のやり取りをしあう……。



それが今の……私の望む居場所だから。


だから私は手にする。
大切な人を守る力がもっと欲しい。



強くなりたいから。




全国大会の朝。

お祖父ちゃんより譲り受けた
我が家の家宝の刀に手を伸ばす。


我が家の真剣と言えば
これしかないから……。


真剣を手にして、そのまま道場へと戻ると
着替えを済ませて、面もつけずに、真剣を振り回していく。



時に流れるように、
線を描くように光の残像を発しながら
素振りしていく。




無心になって……剣と一つになる。



体に染み込んだ一通りの練習を終えて一息つくと、
敬里とお祖父ちゃんが私の近くに集まって来てた。




「花桜、お前……すげえじゃん。
 ちょっと、それ俺にもかしてくれよ」

「敬里っ!!
 やめよ」


家宝の剣を私から奪おうとした
敬里をお祖父ちゃんの声が制した。



敬里は機嫌を損ねたように家宝の剣から手を放す。