私はいつの間にか、その瞳に吸い寄せられるかのように前へ、前へと歩いていた。


────と思ったら、急に何かに視界を遮られた。



「ぶっ!」


思わず、出したこともない奇声を発する。



「…何これ…」


紙の匂いがする。



案外大きめで、手探りでは端が把握出来ないせいで顔に貼り付いたまま。



周りからしたら、かなりイタイ子。



────本当に私…ついてない…。



──その時、段々と近付く足音と共に小さく「ヤベッ」と、低く呟く声が聴こえた。



そして視界の景色が再開した。


目の前には────


あの、綺麗な瞳があった。



「…ごめんね。大丈夫?」


「…はっ…はい!だ大丈夫です…」



瞳から、目を離しきる前に声を掛けられ噛み噛みで答える。



「…ナイスキャッチ。(笑)」


「…あはは…まぁ…。」



何か恥ずかしくなってきた…!!



「学校帰り?」


そんな私を他所に、まだ視線と声を掛けてくる。


「はい…部活終わって…」


「へぇ────…。」


問ってきたわりに興味なさそうな、力の抜けた声を出す。