入口の方から手を振る男の人、葛原くん。
隣には相変わらず凛とした雰囲気の友梨亜さんと、その腕の中にはすやすやと眠る可愛い赤ちゃん。
彼らのご両親たちまで、勢揃いだ。
「みんな来てくれたのか、ありがとう」
みんなの姿を見て、嬉しそうに笑う誠斗くん。
数年前までの寂しそうな面影はなく、肩の力が抜けて自然体だ。
「向こうに行っても、体は大事にしてね。それから毎日楽しくいてね」
「あぁ、ありがとう。友梨亜もな」
2人の間にはもうわだかまりはないようで、むしろあの頃よりずっと強い絆があるように見える。
だからって妬んだりすることはもうないけれど、正直言うと、少しだけ羨ましい。
「あっちの国でお嫁さんを見つけたら、教えてくれよな」
なんて冗談気味に言って、彼を小突く葛原くん。
…誠斗くんが外国で結婚か……
それは、嫌だなぁ…


