しばらくの言い合いの末、わたしはいつも奏多と登校する。



忠見さんの車に乗ったことは一度もない。



「…ほんっと、毎日毎日あいつも懲りねぇよなー」


「はは…ごめんね」


「いや…別にゆりちゃんが謝らなくてもいいけどさ…」




わたしより少しだけ高い身長。



いつも必ずわたしの左側にいて、手を握ってくれる。



時々ふわりと風に舞うオレンジ色の髪は、染めたものでなく生まれつきのもので。


奏多がにかっと笑った時、その屈託ない笑顔をきらきらと輝かせる。




「婚約者…か」


「…うん…」





彼氏と婚約者、2人の間にいるわたし。



こんな状況になるまでには、過程があった―――