震える指で、ボタンを押した。 “着信履歴:葛原奏多” …ほら、やっぱり。 その文字を目にした途端、胸が苦しくなる。 10件の、奏多からの着信。 昨日奏多を振り切った後が9件と、それから今朝に1件。 …バカだな。 わたしが出ることはないって、分かっているはずなのに… もう見ないと決めていたこの名前に、無意識に涙が溢れてしまう。