「疲れた?」
ミラー越しのパパが見えなくなった頃、隣の彼がきいてきた。
「ううん。大丈夫」
「そうか。よかった」
大人の匂いで満たされた、静かな車内。
彼はそれ以上何も言ってこなかった。
夕日と共に、窓の外で見慣れた景色が過ぎていく。
わたしの家を越え、忠見さんの家を越え。
しばらく走って着いたのは、大きくも小さくもない一軒家。
お義父様たちが建ててくれた、わたしたちの新居となる家。
…これから始まる、彼との生活。
パパ。
わたしは大丈夫だよ。
義務でなく彼を愛せる日が、きっとくるはずだから。
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