「今日の夕梨亜、なんだか優しくないか?」 「は…!?」 思わぬ言葉に、今度はわたしの方がびっくり。 「いつもの夕梨亜なら、早く帰れと言うのに」 「……」 そうだけど。 …でもだからって別に、優しくしているつもりなんてない。 「気のせいだよ」 そう言い放ち、忠見さんから少し離れて背を向ける。 「ふーん…あ、そ」 不貞腐れた彼の声が、すぐ後ろから聞こえた。