「…っ」



自然と、止まっていたはずの涙が頬を伝う。



「…ママのバカっ…それでいなくなっちゃったらダメじゃん…」



膝の上の拳を握り締めて、ママに向かって言った。




…ギリギリまで強がって、笑って…



遊園地に行ったあの日を最後に、ママはわたしの手を握ることはなかった。




…もしも願いが叶うなら、…もう一度ママと手を繋ぎたい。







『…泣かないで。ママ、夕梨亜の笑顔が大好きよ!』



突然そんな言葉が、胸の奥で大きく響く。



ふと見た遺影は、さっきまでよりももっと温かい笑顔。



…きっと今、そこで言ってくれているんだね。





わたしが悩んだ時、いつも静かに話を聞いて答えをくれるママ。



…できることなら、会って言ってあげたい。



“わたしも、ママの笑顔が大好きだよ”…って。