「…リサのこと、教えてあげよう」
後ろにいたパパが、わたしたちに近寄り話しかけてきた。
「…リサはね、小さい頃から心臓が弱くて入退院を繰り返していたんだよ。高校生の時にパパと出会ったのだって、病院の中だったんだ。…って、パパは骨折入院だったんだけどな」
「…え…」
「辛い闘病生活のはずなのに、あの子はいつも笑っていたよ。手術の日は、特に眩しい笑顔だった」
「……」
…初めて聞く、ママの昔の話。
一言も落とさないよう、静かに耳を傾ける。
「やがて結婚して夕梨亜が生まれてからしばらく、リサは病気なんてないように元気だったよ。毎日笑ってはしゃいで、まるで少女のようだった」
「……」
「パパも、そんな姿に安心していたんだ」
「……」
…わたしも知っている、ママの姿。
パパだけでなく周りの誰もを安心させていたのであろうその姿は、きっと表の顔。
もしかして、他の顔もあった…?


