「奏多くんの言うとおりだよ。リサは夕梨亜を責めたりなんかしていない」
「パパ…」
後から部屋に入ってきたパパも、わたしにそう言った。
「あの頃のリサは、どっちにしてももう限界の体だったんだ。“最期に家族と思い出がつくれてよかった”、ってそう言い残して目を閉じたよ」
「え…」
ママ…
自分にはもう時間がないのを知って、わたしをあそこに連れて行ってくれたってこと…?
最後の最後まで、優しいママだったんだね…
「夕梨亜が悪いわけじゃない。…だからもう、謝るのはやめなさい」
「……」
…本当に、怒っていない?
ママの遺影を見つめ、そう心で問いかける。
『怒るわけないでしょ』
そう返ってきたような気がしたのは、わたしがズルい人間だから?
…それとも、本当にママがそう言ってくれたから…?


