30分ほど走って、今の家に帰ってきた。 さっき見たのよりも少し大きいこの家は、今のわたしの居場所。 「…ただいま、ママ」 和室に入って仏壇の前で手を合わせる。 …苦しい思いをさせてごめんね。 …ずっと逃げてて、ごめんなさい。 そう、胸の中で話しかけた。 「ゆりちゃん」 隣に座る奏多が、わたしの肩を抱いてくれる。 「ママさんの顔、よく見てごらん」 「え…?」 わたしにそう言って目の前の遺影を指差す奏多。 …そう言えば奏多、さっきもそんなことを言っていた。 ママの顔…?