「…ごめんなさい…、ごめんなさい…っ」
奏多の胸の中で、何度も呟く。
…だけどどれだけ謝ったって、ママはもう帰っては来ない。
あの日ママを病院送りにしたのはわたし。
わたしが、ママを死なせた。
その事実を、いつしかわたしは封印してしまった。
…ずっと逃げてきた。
それなのに、自分の困った時は相談なんかして、…図々しいよね。
……ごめんね、ママ。
「…ゆりちゃん。…もう帰ろう」
わたしの頭を撫でて、優しい声で言う奏多。
「ママさんの顔、ちゃんと見ようよ」
「…え…?」
わたしを腕から解いて、そっと微笑んだ。
…ママの顔を見るって…?


