奏多の部屋に来たからって、特に何かするわけではない。 お互い手を出さないって、暗黙の了解。 ……のはずなのに。 「……何してんの」 「え?」 ずいっと、奏多が距離を詰めてきた。 「…だってゆりちゃんが遠いんだもん」 口を尖らせながらそう呟き、ふわりと腕を回してくる。 「…我慢するって言ったのに」 「俺、これでも我慢してるんですけど」 「……」 まぁこれくらいならいいかなって、そう簡単に許してしまう自分は、やっぱり奏多に甘いんだな…なんて。 温もりを感じながら、そう思った。