この場に立ち尽くし続けるわけにはいかず、重い足を動かす。
なんだか今日はもう学校に行く気がなくなった。
でもサボるなんてパパは許してくれないだろうから、しばらくは家にも帰れない。
迷った末、足が自然と動いた。
小高い山に向かって数分。
木々が生い茂る山の切り開かれた土地に、いくつか並べられた灰色の石たち。
その一番前の列の端っこには、“佐伯リサ”と刻まれた御影石がある。
綺麗な花が添えられた、ママのお墓。
花の状態を見る限り、換えられてからまだそんなに時間は経っていない様子。
そういえばいつ来ても、磨く必要なんてないくらいにこのお墓は光っている。
石もお花も常に美しく保たれているのは、きっとパパが頻繁に手入れをしてくれているから。
…わたしももっとここに来ないといけないなぁ。


