スコッチとカンパリソーダがきた。
「さっきの浴衣ですが」
「ん?」
「ほんとに着てくれますか?」
「……」
「……」
顔をじっと見つめるから、また沸騰してきた。
「あ、あのぅ」
「……」
まだ見つめてるし。
この社長の眼差しが、小説とかで言う熱い眼差し?
なんだか、心臓が煩い。
アルコールと社長の眼差しで酔ってしまいそう。
「もう、戻るか?」
「あっ、はい」
椅子から立ち上がると
「あぶない!」
足がふらついて転けかけたのを支えてくれた。
「す、すみません」
「酔ったか?」
「いいえ、大丈夫です」
腰に手を回し引き寄せ歩きだす。
こ、こんなにくっつくと、また爆発しそう。
静まれ、私の心臓。



