「―と、ちょっとてば」
「えっ?」
「どうしたの?考えこんじゃって」
「い、いえ。なんでも」
忘れてたなんて格好悪くて言えない。
「で、婚約指輪は?」
「まだ…もらってません」
「……」
再び私をガン見!
「てか…二人共、婚約指輪は忘れてました」
『婚約指輪』を強調しとかなきゃ!
『結婚指輪』はあるようにね。
「急だったから」
なんか恥ずかしい。
結婚式でウェディングドレスの事だけしか考えてなかったもん。
私…女失格かしら。
「ま、まぁまぁ、あの社長の事だから結婚してから買ってくれるわよ」
「そうそう、お前がねだったら、どんなでかい指輪でも買ってくれるって」
「ハハハ…」
なんかみんなに同情されてる気が…



