「だから、もう一泊する」
「は、はぁ」
「ん。じゃあ服選べ」
「は、はい」
ようやく選び出したが…やはりコイツも女だ。辛気臭い。
「決まったか?」
「えっ~と」
「これとこれ どうだ?」
小花模様のプリントワンピースと淡いベージュのワンピースを選んで渡す。
「わぁ~素敵ですね」
コイツの趣味にも合ったか。
「ん じゃあこれでいいな」
「えっ?」
「サイズは合うか?試着してみろ」
二枚渡し、試着室に放り込む。
「どうだ?」
「はい」
小花模様から着て
「ん…もう一枚の着て」
「は、はい」
ベージュを着て
「ん」
「着替えて来い」
大丈夫だな。サイズも合ってるし…何より似合ってる。
元のワンピースを着て試着室を出て来て
「貸せ」
ワンピースを手に取り支払いへ
「し、社長…二枚も勿体ないです。一枚で」
「いいから」
俺に買わせて当たり前って思う奴の方が多いのに…
って俺がそんな強欲なのとしか付き合ってこなかったってことか。
遊びでしかなかったから。
本気になったのは初めてだから。
コイツになら、いくらでも買ってやりたい。
支払いを済ませると
「ありがとうございます」
丁寧に礼を言われた。
「ん」
はにかんだような嬉しそうな、でも戸惑ってるような色んな感情が顔に表れては消えていく。



