書斎を出てリビングに行くと

ん?

何処に行ったんだ?

キッチンにもいない。

キョロキョロ辺りを見回し

あ、ベランダか。

「なにをしてる?」

「気持ちいいですね。空が近くて」

「……」

「夜は星が綺麗に見えますよね」

「さぁ」

「えっ?」

俺に目を向けて

「見たことないな」

「……」

「滅多にベランダに出ないな、そういや」

「なんか勿体ないですね」

「ん?」

「こんな素敵なとこなのに…此処は高いから、あまり騒音も聞こえないし、風をこんなに感じることも出来るのに」

「そんなもんか?」

「はい。そんなもんです」

「そっか!」

「……」

常日頃、そんな事考えたことないな、そういや。

「ん?」

「あ、いや。なんでもないです」

慌てて視線をそらす。

どうしたんだ?