恋愛ウエディング

あまり自由な会話時間を設けなかったもの幸いし、私の両親と義兄の母以外にはどうやらばれずに済んだらしい。

義兄からも連絡が入り、母子ともに無事とのこと。

式後に姉は疲れた事にして、二次会は兄だけでやるそうだ。

私達は、解放される。


…よかった。
色々。


私達は盛大に息を吐き、座り込んだ。


…終わった。
色々。


ほっとした。

気が抜けた。

断然安堵が強かった。


なのに…私はどこか残念だった。


美味しい料理をほとんど食べられなかった事じゃない。

綺麗なドレスを脱がなきゃいけない事じゃない。

特別なメイクを落とす事じゃない。

なのにどうして残念なのか。

私はそれを、形にしないようにして立ちあがる。


それはしないほうがいいから。

知らないほうがいいから。

それをしてしまったら

知ってしまったら

崩れそうだから。

そう。

言葉にしたら崩れそう。

行動にしたら
崩れそう。

『家族』の枠に入るだろう人に芽生えたこの気持ちを形にしてしまったら、均衡が、崩れる。

だから。


かけちゃいけない。

声を。


触れちゃいけない。

肌に。



…帰ろう。



そう思って、健二さんに一礼をしようとした時だった。



「腹、空いてない?」



ぼそっと声を、

かけられた。



「いい店…知ってたりするんだけど」



…………かけてはいけない。

………声を。


…………触れてはいけない。

……肌に。


そう思っていた人は、私に食事を提案してきた。


しっかりと、手を




掴みながら。




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