「うん、ごめん」



と、小さく舌を出す雪美は、いつもの小悪魔っぽい雪美のままで。



だから私は、気づかなかったのだ。



このとき雪美が、本当は大きな秘密を抱えて、胸を痛めていたことを。



そして、私の人生の歯車が、予想だにしない方向に回り出していたことを、私はまったく知らずにいたのだった。