【短】猫似男

「ごめん美千子…」


そう謝るのが精一杯で、あたしは強制的に通話を終了させた。


「♪♪♪♪」


当然すぐにまた携帯が鳴る。


「クスッ…出ないの?」


余裕な幸人に少しムッとする。


「……意地悪」


一言だけ呟いて、あたしは俯いた。

ドキドキと胸の音が強くなる。


「俺より杏奈の方が意地悪でしょー?お預けくらったペットの気分」


後ろからギュッと抱きしめられると、幸せな気持ちにいつもなるの。


「ほんと幸人って猫みたい」


「俺?猫?」


本人はイマイチ実感が湧かないのか、顔を見なくても表情が想像できる。

猫じゃなかったら何なの?って感じ。