-ガチャッ-

久しぶりに入る元気の部屋。ちらかって汚っい太陽の部屋とは大違い…。黒とシルバーで統一された大人びた雰囲気。そしてベッドで無防備にぐっすり眠っている元気。

-うわっ裸♪-

元気はいつも上半身裸で寝ている。もちろん桜はそれを知っている。

「元兄ィ~」
「………ん」

元気の耳元で甘えた声で呼んでみる。うっすら目が開く。気怠さがなんとも色っぽい。

「ん~……桜?ごめん今起きる…」

何だか半分夢うつつって感じ。喋りながらまた瞼が閉じてしまった。

-相当眠たいんだ…-
「何時に帰って来たの?」
「…………4時」


は~っと溜め息をつく桜。無理に起こすのが可哀相になってきた。
「元兄ィ寝ててい~よ?私今日は我慢するから」


耳元で囁いて部屋から出て行こうとする桜の腕を大きな手がむんずと掴む。

「ん~ん。昨日悪い事しちゃったから。起きるよ」
「……あ!」


桜はある事を思い付いた。

「じゃあさ。一緒に寝よ♪」
「え~?」
「そしたら出掛けなくていいよ。元兄ィも寝れるでしょ♪」
「それでいいの?」
「いいよ♪」
「んじゃ…はい」


元気の持ち上げた布団の隙間から潜り込む。高校までやってたサッカーのおかげで贅肉がない引き締まった身体。桜はピッタリと寄り添う。
「へへっ…元兄ィ腕枕!」
「はいはい……」


-元兄ィの肌~♪伝わるかな~。好きだよ~……-

ギュッと抱き付くと桜の身体に腕を回してくれる。
こうやって一緒に寝るのは初めてじゃない。でもためらいも無く簡単に布団に入れてくれるのはやっぱ自分はドキドキする対象じゃないのかなとちょっと寂しい。

ふっと元気の腕の力が抜ける。早くも桜の頭の上では寝息。

-くっそ~。元兄ィ随分無防備じゃん-


今日の為にこの間買ったお気に入りのトップス。もちろん胸元が開いている(夏で暑いんだもん)。にホットパンツ。

-せっかく露出しても見てくれないんだもん。えいっ……-

元気の足の間に太股を差し込んでみる…反応ナシ。胸をギュッと密着させてみる……反応ナシ。悲しい。テンションが急に下がる。下がりすぎて涙が出そう。元気の胸に顔を押しつける。