「え……」
信じられない太陽の言葉に思わず顔を見た。さらに太陽は続ける。
「これ以上お前に辛い思いはさせたくねぇんだよ。俺が守ってやるから……」
「そんな…冗談やめてよ」
「冗談じゃねーよ」
「だって私ずっと元兄ィしか見てなかったし……」
「知ってる」
-どうしよう。今までだって元兄ィ一筋だったじゃない。三兄弟の中でずっと元兄ィだけ…なのに何でこんなに気持ちが揺らぐの?-
「太陽、あの……」
-ガッターン!ガシャーン!!-
急に店内が騒がしくなる。罵声と悲鳴が交錯して………何!?何があったの?
「ったく……」
チッと舌打ちして太陽が立ち上がり、騒ぎの中に入って行く。
「何?」
「あぁ、最近よくあるんだよ。仲間割れみたいなもん。太陽さん抜けてからまとまりないっていうか派閥ができててさ……」
武志がカウンターでグラスを拭きながら溜め息をつく。
「抜けたって何から?」
桜の問いにしまったって顔。
「ちょっと教えなさいよ」
「いや、だって言うの止められたし…」
「そう。じゃ私武志に苛められたって太陽に言っちゃうから」
「なっ…苛めてないじゃん」
「い~っちゃお。そして泣いちゃお。私泣かせたら太陽黙ってないよ?」
みるみるうちに目に涙ためてウルウル目で武志を見る。う~ん涙コントロールできるなんて我ながら演技派。
「わ、分かったよ。言うよ」
「で、何?」
「この辺りのグループ仕切る頭だったんだよ」
「?」
「走ってる奴から突っ張ってる奴、悪い奴から全部を仕切ってたリーダーが太陽さん。この辺で知らない奴はいない」
「なにそれ…」
昔からちょっと道逸れてる気はしてたけど……そんなことしてたの?あのおちゃらけ太陽が!?


