ラブハンター☆

カウンター内には数人のボーイがおもいおもいに接客したり、カクテル作ったり。その中に見覚えがある赤い頭。耳のピアス……






「武志!?」






呼ぶ声に気付いてこっちを振り向く。やっぱり武志。それが太陽と桜だとわかるとパッと表情が変わった。






「太陽さんっ。ちわっす!」
「おぅ。元気にしてたか?」
「もちろんっす!あの後太陽さんの口利きのおかげで『R』からも足あらえましたし、バイト先も紹介して貰えて感謝してもしたりないっす!」
「別になにもしてねぇよ。ま、頑張れな」
「はいっ」




頬を高揚させて話す武志。そして改めて桜に手を上げる。





「よぉ江本。お前、幸せだぞ?太陽さんのそばに居れて」
「え~…?」





-幸せ?太陽の側が?どうしてよ-





でも確かに今日の太陽は優しい。気を使って連れ出してくれて、今も私が怯えないように指を絡ませてくれてる。この間だって………



-ダメダメ!私には元兄ィがいるんだから-


でも元気は今もあの女性と一緒にいる(仕事だけど)。


-私より優先したいものってなに?-





武志が勧めてくれたカウンター席に太陽に促されて座る。





「桜、どした?また元兄ィのこと考えてたのか?」





俯いたままの桜を気にして太陽が覗き込む。


「…………」





無言の桜。それを見て溜め息をつくと、武志に向かって『ウーロンふたつ』と不機嫌そうにオーダーする。






「今日はソフトドリンクでいいんすか?」
「コイツ乗せて来てるから!」
「あ、はい。了解っす」





「なぁ桜………」
「………なに?」






「あんな兄貴なんかやめちまえ」
「は?」






思わず太陽を見ると、頬杖ついたままカウンター内の一点を見つめてる。






「俺なら桜だけにする。他の女なんか要らない」