ラブハンター☆



「ちょっとどこ行くの?ねぇ…」






どこに連れて行かれるのか不安な一方、ビックリしたのはそこかしこでたむろってる怖そうなお兄さんお姉さん達が太陽に気付くとニコニコ近付いてくること。



「おー太陽久しぶり♪」
「あれ~?顔だすの珍しいじゃん」

「あ、太陽さん!ちーす」
「ちわっす!この前連れて来た奴すげぇ使えますよ」





引っ張られて歩いてる間に何人に挨拶されただろう。それに言葉少なに答えながら、ある建物に近付く。


見たとこクラブ?でもこの前の『R』とは品が違うっていうか……もっと洒落た感じ。






-キィッ…-






戸を開けると、薄暗い店内。落ち着いた音楽。よく見るとかなり人が集まってるらしく、あちこちで談笑している。

やっぱり『R』とは雰囲気が違う。和やかっていうか皆仲が良さそう。




-でもなんでこんなとこに?私お酒飲めないんだけど……-




「あ、太陽さんだ」




またあちこちから声が上がる。


-なんか……人気あるんだなぁ-





見上げると、太陽の横顔。時々口元に笑いを浮かべながら軽く受け答えをしてる。

うちに居る時のお馬鹿でだらしない太陽と雰囲気が違う。女の子と居る時の遊び人な太陽でもない。
歯を見せて声を上げて笑わない。なんていうかとてもクール。
いったい幾つの顔を持っているんだろう……。そしてどれが本当の太陽なのか。






「ちぃっす。太陽さん、彼女っすか?」






そんな声が上がった時、太陽の表情が一瞬辛そうに曇ったのを桜は見逃さなかった。





-太陽?-




「ばぁか。違げぇよ。幼馴染みの娘」



-太陽?なんでそんな顔……するの?-





多分他人には分からない。元気の時と同じ、桜だからわかる微妙な表情の変化。




「桜こっちに……」



手を引かれて向かったのは奥のカウンター。いろんなお酒が並んでる。