ラブハンター☆

レストランてランチを済ませ、ブラブラとショッピングを楽しむ。通り掛かったお店の前であるものが目に止まる。

「うわ、可愛い~…」
プルメリアがデザインされてるペアリング。メンズにはターコイズ、レディースにはジルコニアがあしらわれている。確かにデザインにも惹かれたけど、何より元気とペアで持ちたかった。

-な~んて。無理だよね……-

「桜、これ欲しいの?」
「欲しいけど…」
「すいません、これ下さい」
「元兄ィ!?」
「はい」

元気はごく自然に桜の右手の薬指にリングをはめる。

「俺バイト先で指輪ダメだからここに」

元気はそう言ってクロスと羽が付いた自分のネックレスに指輪を通した。
「元兄ィ悪いよ。昨日もタクシー代出して貰ったのに。自分の分は出すよ…」
「いいって。昨日のお礼と叱っちゃったお詫び。と、今日の記念に♪」

軽くウィンクして見せる。確かに今日は久しぶりに凄く楽しかった。

「そろそろ帰るかぁ」
「えっ、もう?」
「俺このあとバイトある」

-そっか。時間調整して遊んでくれたんだ…-

「分かった。帰ろ」
「お?珍しく素直だな」
「元兄ィ、寝る時間削って遊んでくれたんだもん。無理は言わないよ」


桜は元気の手を引いて歩き出す。まだ四時。帰るのは早過ぎる。まだ一緒にいたい。でもわがまま言って元気を困らせるのはさすがに時と場合によりけりだ。寂しいけど我慢我慢………。

-RRRR……♪-

「元兄ィ、電話」
「ちょっとごめん。もしもし……」


桜に背を向けて話す元気。携帯から時折漏れて来る女の声…。

-アイツだ…-

この特徴ある甘ったるい声。胸がざわめく。両腕で自分の身体を抱き締める。

-落ち着け、桜……-
「ごめん桜。バイト先に急に欠員出たみたいで今から入ってくれないかって……」
「あの人でしょ」

元気の困った顔。図星らしい。桜は無理に笑顔を作る。

「いいよ。しょうがないよ。桜電車で帰るから元兄ィこのままバイト行って?」
「ごめんな」

急に桜は元気の首に飛び付く。桜の足が着くように反射的に元気は前屈みになる。耳に唇を寄せる、

「今晩も遅い?」
「ん~ん、早く帰るよ」
「絶対ね。いってらっしゃい」