『鼓動が早くなるんだよ』


電話の声を聞くだけで…

メールが来る度に…

嬉しくて顔が綻ぶ自分がいる。

連絡が来ることが嬉しいと思うから。



『相手はチャラ男の藤堂響なのに』



学校1のイケメンで

モッテモテで

勝手に呼び捨てする女が山ほど群がってくるし

制服ちゃんと着なくて、見るからにダメそうだし。

なんか無駄に派手だし。



『暇があればエロばっか、みたいなヤツなのに…』



実際何考えてるかわからないし。

自分ペースで勝手だし。


知ってるんだよ。

相手がどんな男かだって…



『自信過剰の藤堂響なんだけどね』



でも、噂で聞くほど悪く思えないの

そう、思いたくもないの



『なんか無駄に偉そうな藤堂響なのに』


耳に残る言葉も、笑い声も

とにかく全部気になるんだ。



『世界中から無条件で愛されたいって思ってるようなオメデタイ人間の藤堂響なのに』


あたしは、どうしようもないくらい藤堂響が気になって仕方がないの


ネコを抱き上げてから、そっと抱き締めた。






『すきになったみたいなの』





みぁ〜

アンタ顔真っ赤よ



とネコの声が聞こえた。

勝手な解釈だけど、そんな気がした。





『どうしよう…気が付いたらまんまとハマっちゃった』






苦笑いのあたしを膝の上から見つめるネコ。

彼女の優しさが伝わる気がした。


『あたし達はライバルだけど友達だよ』


みぁ♪♪


ネコが笑った気がしたんだ。







こうして…

言葉にすると不思議なもので…


想いは急速に加速する。


ネコに自分の胸の内を明かしてしまえば、波打つ心臓は爆音で…

だけどトクトクと感じる鼓動は嫌な物ではなくて…

少し…心地良いな、なんて思えてしまう。


身体中を巡る熱が緩やかにあたしを温める。



―あたしはまんまと藤堂響に恋をした―