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『おじゃましますよー?』

あたしは、ネコに会うため、例のベランダへ続く扉の前に来ていた。

そっと開ける。


おおっ♪


今日は天気が良くって、朝から上手い具合に陽が当たって寒いはずのここはポカポカ♪

そのせいか、ネコはなんだか暖かそうな布団みたいな物の中に気持ち良さそうに丸まっていた。

居るか居ないか不明な仔猫は、呆気なく見付かったのでした。


なんだか拍子抜け


そんな日溜まりの中、ネコはあたしが入ってきた音に気付いて一度鳴いてこっちをジッと見てきた。

それは「あぁアンタか」と翻訳したい雰囲気…


だから…その瞳…

藤堂を見るときと違くない?


なんて思いながら、若干敵対心を持たれているネコと見つめ合ってるあたし。


ここは穏便にしよう…と無駄に負けたくない心でネコに言葉をかけた。


『藤堂響がアンタの事気にしてたよ』


と小さく口を開くと「みぁ~♪」と鳴くわけで、


今、絶対声のトーン上がったでしょ?!

コイツただものじゃないっ


『ねえ?あたしのだけど、お弁当食べる?』


そんなネコに恐る恐る聞いてみた。


みぁ?

差し出したお弁当とあたしを交互に見ながら、警戒してるのかチロッと口を付ける。


あたしはその様子を黙って見つめていた。


みぁ〜


そうして、もう一度あたしを見てから今度は勢い良く食べ出した。


コイツ…
なんだか可愛くないか…?


『おいしい?』


微笑ましくなっちゃってネコに聞くと、ちゃんと「みぁ〜」と返事。


このチビっ!!やっぱり日本語通じてるっ!!


ネコはあっという間に綺麗に間食。


ヤバいっ可愛いぞっ!!


それから瞳の前に座っているあたしの膝に頬を擦り寄せてきた。


藤堂にしてたのと同じっ?!!

単純だなぁっ
可愛いじゃんっ!!


ちょっとネコと友好が結べた気がする♪

そんなあたしも単純かもだけど。