麗恩「……梓」
梓『お兄ちゃんはそっとしておいてあげてね。』
拓「だから、隠してたのか」
お兄ちゃんは部屋へ行ってしまった。
泣いてたな……ごめんね。
梓『で、みんなは…知りたいんでしょ??』
拓「…無理すんな」
梓『無理じゃない。本当の事を知って軽蔑するならしてもらってもいい。どうとらえてもみんなの自由だよ。』
瑠真「聞かせてくれ…」
梓『全部は話せないけど、話してあげる』
―――――――……
小学校1年生の時にお母さんとお父さんが離婚した。
それまでは普通の家族だった。
そう、離婚するまでは―――。
離婚して私はなにも知らないまま小学校5年生になった冬休み、
お父さんの家に行った時に
おばあちゃんが言った『親の勝手で離婚して』。
やっぱり離婚してたんだ、って思った。
でも6年生になった頃、お母さんの帰りが遅い日が多くなった。
我慢できなくなった私はお母さんの携帯を見てしまった。
それが、間違いだったんだ。
それから、回数も段々増えて
私は家で1人の時が多くなった。中学に上がったときには何回も家出した。
そして――――リストカットに
手を出した。
初めは抵抗があったけど回数を重ねるごとに段々なにも思わなくなった。お母さんも気づいたけど、『ケガだよ』って言ったら誤魔化せた。
所詮そんなものなんだって思った。そこから私は人が信じられなくなった。
愛って何??って―――――
梓『って言うこと』
私が顔をあげると…
梓『み…んな何で??』
みんなが泣いてる。
あ、お兄ちゃん………
秀「何にも知らなかった。気づいてやれなかった…」
梓『大丈夫…ここまで頑張ってきたもん』
そう、いつか素敵な家族だったあの頃に戻りたいって気持ちがあるから頑張ってきたんだよ。
