そもそも職務質問を受ける対象の人間と云うのは、「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断」して、何らかの犯罪を犯した者であるか、何らかの犯罪を犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者であるか、既に行われた犯罪について知っていると認められる者 であるか、犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者 でなければならない。
 私が一体その何れに該当すると言うのであろうか。
 私は気付けば怒っていた。
「お断りします。第一私は明確に学校に向かう最中であり、少なくともこの時点で犯罪にかかわりのある人間とはどう見ても云いがたい風貌であると思ふ。なんの理由があってそんな戯言に付き合わねばならぬ。」