「うっ…ううぅ…」


「…まだ泣いてんの〜?」


「だって安井くんがあっ…ひっく…あんなに笑顔だったんだもんっ。幸せだった…んだ…もん」


安井くんのコンサートは、大盛況のうちに幕を閉じた。


「ほら、結菜。そろそろ帰らないと。結菜パパ怖いんだから(笑)」

「…そうだねっ」


私はコンサートの余韻に浸りながら里沙の後ろを追って会場を後にした。


だけど、何をやっても遅い私が里沙に着いていけるわけもなく。


見事に迷子になりました!てへ


…ってわけで会場の周りを歩いてるんだけど、暗いし人いないし。


まぁ、終わってから2時間も経てば人がいなくなるのも当然だよね。


あ、待てよ。携帯あるじゃん!


気付かないなんて私バカだな〜と思いながら携帯を開くと…


電源が…電池がない(泣)


そのとき私は何かとぶつかった。