あの日、確かにあたしはキスをした。 憐の胸にある黒い十字架に唇を寄せた。 たくさんの溢れる想いを込めて。 「そうだったんだね。」 「俺も驚いたんだ。魔界に帰ったらいきなり親父にその事聞かされてさ。」 そういう憐はどこか懐かしそうに話す。 「すぐこっちに行きたかったけど、親父やお袋に世話になったから。最後に家族サービスで二年間暮らしてた。」