*said 翔太

「ん、」
少し呻いてから俺は起きた。

布団からいい匂いがするし、俺の部屋じゃないみてぇ・・・

「ん?」

もう一度寝そうになったが起きる。
あたりを見渡せばどうやらココは俺の部屋じゃないと言うことに気づく。

「どこだ、ここ」

俺、石川翔太<いしかわしょうた>は何故ここにいるのか必死で考えた。

思い出せねぇ・・・

昨日、家を飛び出した所までしか思い出せない。
とにかくここの人に話をきいて、お礼を言うために、俺はベットから出た。

すると、誰かが部屋に入る音が聞こえる。

『起きたの?』

声の主の方を向けば、そこには一人の女性が立っていた。

黒いロングヘア、大きい瞳は少しつり上がっていて猫のようだ。
可愛いと表現したほうがいいのか綺麗と表現たほうがいいのか・・・
そう至らんことを考えたが、とにかく礼が先である。

「昨日はどうも、感謝してます」
『何があったのか、とかまでは聞かない。』
「スンマセン」
『だから、朝ご飯食べたら早く出て行きなさい』
「・・・朝飯の準備はしてくれたんだ、やっさし」

笑いながらそう言うと真っ赤になった女の顔。

『う、うるさいわね!さっさと食べて出てきなさいってば///』
「かーわーいーい」
『アンタ、絞め殺されたいのっ!?』
「まだ死ねないから無理」

なんだこの人、大人っぽい顔をしてるくせに中身は子供かよ


『ふぅ、私としたことが取り乱したわ・・・』
「まぁね、お疲れ様」
『アンタねぇ、そんな態度とって・・・昨日の恩を忘れたの?』
「それはそれ、これはこれ・・デショ?」
『よくムカつくって言われない?』
「ムカつかないとは言われたことない」

『もういいわ、疲れるだけだもの。』

そう言って部屋を出て行こうとする女に俺はこう言った。

「ねぇ、お姉さん・・・俺を飼ってみない?」