とにかく疲れた。
仕事で疲れた体に鞭を打って家に帰る。

『はー、風呂に入りたい』

そんなことを言いながら、自分のボロっちいアパートへの階段を駆け上がると、
そこには男が倒れていた。

『っ!?』

思わず叫び声をあげそうになったが、堪える。

・・・何?死体?
よりによって何で私の部屋の前に倒れるかなぁ。

溜息をつきながら男の側により脈を確認する。
流石だ私、びびってない。

『生きてる。』

まだ(?)暖かい体。
しかも規則正しい寝息まで聞こえてきた。

『寝てるだけ?こんなとこで?・・・んなわけあるか!』

一人ツッコミをしていれば大家さんがきて

「もう、お友達はちゃんと部屋まで運びなさいな」

だなんて言ってきた。

・・・。

これでこの男を放置するという選択肢はなくなったわけだ。
ご近所さんに私が友人を外に放置するような非道な女と言いふらされては困る。

『面倒くさいな・・・』

私はこの男を仕方がないから部屋に入れてやることにした。

『重っ』

見た目が細身だから大丈夫だと思ったのだが、やはり男は重い。
やっとのことで男をベットに投げ捨てた。

扱いがひどい?んなこと知ったこっちゃない。

こちとら疲れてんだ。
疲れた私の体は風呂を求めている。

この見知らぬ男がいるというのに無防備かもしれないが・・・
私は風呂に入る←
もし万が一、危ないことがれば殴れば良いだけの話だし。
よし、正当防衛だ。

変なもの拾った・・・。

そう思いながら風呂に入る私は、これから私の生活が大きく変わるなんて知りもしなかった。