海上船内物語




斬っても斬っても襲い掛かってくる、海賊。
死神船船員が三、四十人単位で海賊軍が百、二百単位だった。

船員の顔に疲労の色が見られる。



「・・・・貴様はこの海賊共をどう思っているのだ?」

「今君らに襲い掛かっている海賊の方か?
まぁ、使い捨ての駒、だな」

「駒、」


ごつ、とアキは倒れている海賊を蹴ってみせる。


「まぁ、海賊の思考なぞそんなモノか」


詰まらなさそうに吐き捨てるアキ。
それを見て、アランは薄く笑った。



「まだ青いガキだなぁ、お前も」

「・・・・・何だと?」

「仲間だ絆だと騒いでるばかりじゃ、本当の力なんて得られないんだ」


アランが腰を上げた。
腰やら足やらに付いている金具が鳴る。



「実力ってぇのは、他の人間を押し退けて、踏みつけて、這い上がる事を言うんだよ」

「・・・・・・・・・」


眉を顰めるアキ。



「わしにはな、その“実力”がずば抜けて凄ぇ部下が居るんだ」

「部下?」

「あぁ、わしの従順な僕だ」



潮風が、血の匂いを運ぶ。