海上船内物語











□ □ □



何時間経っただろうか。
カイルは目をようやく開けた。


(人の・・・・・・・気配)


生まれつきの野生の勘で、そう感じるカイル。
何も聞こえない部屋で、耳を澄ます。


ぎしり、ぎしりと船長室の床の板が軋む。

その音は少しずつこちらに近付いているのが聞き取れた。


(・・・え、は?こっちに来てる?うわ、え?)


がちゃがちゃと枷を鳴らすカイル。


(アキ、じゃない?アキはもっと勢い良く近付いてくる筈)


途端に身の危険を感じ、必死に枷を外そうとする。


ぎっ・・・・・・・・、


(っ・・・・・・・・・・・・・・・!!)


船長室の壁の目立たない所に設置させられた隠し扉。
その扉を押し開ける音が、カイルの耳に嫌にリアルに入ってきた。


(・・・うわっ!うわっ!どうすればいいんだ!ヤバい!!)


体が動かなくなり、そのまま寝たふりを決め込む。

カイルの心拍数は更に上がった。