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何時間経っただろうか。
カイルは目をようやく開けた。
(人の・・・・・・・気配)
生まれつきの野生の勘で、そう感じるカイル。
何も聞こえない部屋で、耳を澄ます。
ぎしり、ぎしりと船長室の床の板が軋む。
その音は少しずつこちらに近付いているのが聞き取れた。
(・・・え、は?こっちに来てる?うわ、え?)
がちゃがちゃと枷を鳴らすカイル。
(アキ、じゃない?アキはもっと勢い良く近付いてくる筈)
途端に身の危険を感じ、必死に枷を外そうとする。
ぎっ・・・・・・・・、
(っ・・・・・・・・・・・・・・・!!)
船長室の壁の目立たない所に設置させられた隠し扉。
その扉を押し開ける音が、カイルの耳に嫌にリアルに入ってきた。
(・・・うわっ!うわっ!どうすればいいんだ!ヤバい!!)
体が動かなくなり、そのまま寝たふりを決め込む。
カイルの心拍数は更に上がった。

