「・・・・カイル、何も見えん」

「だって!だって!!」

「本当だ。灯りひとつもないからな」


アキの指が、カイルの背中をなぞった。

背中がその動きに合わせて、反る。


「傷なんて、ない」

「・・・・本当に、絶対に見えてない?」

「俺はそんなに目はよくない」


浮き出た肩甲骨に唇を落す。

一気に脱力したかのように、カイルはベッドに伸びた。


「初めてなの、服着ないで背中向けるの」

「シーザは知ってるんだろう?」

「気使って、背中見ないでくれたの」

「悪かったな、気が回せなくて」


カイルが小さく笑う。


「・・・・気使うアキなんて、見たくない」

「・・・・・何だそれ」


アキはカイルの肩に顎を置いた。

重い、とカイルが呟きながら、隣に置いてあったアキの手を重ねた。


「・・・・アキって、手、すごい大きい」

「お前が小さいだけだ」


カイルがまた笑う。