「絶対に、見せないって決めてたの」
苛ついた口調で吐き捨て、カイルは顔を上げた。瞬間に、息を呑んだ。
「・・・・・ちょ、アキ?!」
アキは平然とした顔で、コートを脱ぎ捨てていた。
「何で脱いでるの・・・・・?!」
「お前が見せたなら、俺も見せる」
アキは軽く頭を振ると、シャツを脱ぎ捨てていった。
硬直したカイルの手をとると、アキは自分の胸元にその手を当てる。
「俺も、人には見せたことはない。見せる機会もないしな」
苦笑すると、アキは固まったカイルを見下ろした。
「・・・・・・・ウルに聞いただろ?俺は、海賊が虐殺した村の生き残りなんだ。なんとか逃げてきたが、このザマだ」
アキの体には、無数の傷痕があった。
傷の大きさは目立つほどじゃないものの、その数は体中至るところに刻まれていた。
「何だ、固まったな」
「・・・・・アキ、が脱ぐとは思わなかった・・・」
赤面しながら、カイルはアキを見上げた。
「・・・・・・ア、アキ」
「なんだ」
「ち、近くで見て、いい?」
と言った途端にカイルは真っ赤になり、その場でうずくまって悶絶しはじめる。
「ああああああやっぱいい!!ごめん、忘れて!!」
顔を上げる事無く、カイルはすぐに言った。

