海上船内物語



「、っと」


カイルの右足が飛んでくる。

アキはそれを寸でのところで避けると、カイルの腰を踏みつけた。


「・・・・・・反逆もいいところだな、カイル。お前の隠しているものを、見せろ」

「いいたたたたた!!痛いって!」


カイルの腕を捻ると、アキは簡単にカイルの顔と腹をベッドに押し付けた。


「触らないでよ、アキ!!」

「うるさい、夜中だぞ」


アキはカイルの腰の上に乗ると、手を離した。

途端に自由になったカイルの両手が、アキを落とそうとする。


「どいて!どいてってば!重い!!」

「俯せの状態なんかで、どけれるならどかしてみろ」


そして、そのあと散々暴れて疲れ、カイルは急に黙り込んだ。


「・・・・・・・本当に、やめろよ、頼むから、どいて。もう二度と死神船なんかの前に現れないからさ、」

「無理だな」

「だって、卑怯でしょ?!アキに敵うはずがないじゃんか!」

「当たり前だろ」


アキは、カイルの金髪を掻き分けた。

真っ白なシャツが、蝋燭に照らされる。


「いやだ、いやだ、いやだ!!やめろって!!アキ!!」


悲鳴じみた声が部屋に響く。

アキはそれを無視して、シャツの襟元を掴んだ。


ビリビリビリ、と簡単にシャツは縦方向に裂けた。