海上船内物語



「師を殺した奴の剣を受けれるなんて、最高の気分だな」

「・・・・・・・っ・・・・・・」


アキが睨み付けると、カイルは唇を噛み締めて、目を逸らした。


「一手願おうか」


アキが剣を踏み込む。

咄嗟にカイルは両手で持ち手を掴み、その太刀を受け止める。

耳を突くような金属音が、鼓膜を響かせる。


今度はカイルが踏み込み、アキの剣を跳ね返そうとした。

が、それを阻まれてしまう。

ベッドが軋んだ。


「・・・・・そこから立ち上がらないのは、良い判断だ。俺が足をすくう可能性が無くなるからな」

「のんきに解説なんて、しないでよ」


アキの剣を受けながら、カイルは睨んだ。

少し笑って、アキは空いている左手で、カイルの手首を掴む。


「っ、あ・・・・?!」

「何も、一手が剣勝負だけとは限らない。油断したな」


アキは自分の剣を捨てるように投げると、カイルの両手首を捻り上げた。

カイルの手から力なく落ちるサーベルが、部屋に虚しい音を響かせる。


「・・・・・卑怯!卑怯!!アキはそんなことしないって思ってたのに!」

「よく言えたものだな。生憎、俺はそんな優しく出来ていない」


落ちたサーベルを蹴り上げ、アキは部屋の端にサーベルを追い遣った。


「お前の、負けだ」


アキはカイルを見下ろした。