海上船内物語



「お前が“女神”ではない、か・・・・・。

“女神”が死神船を陥れた、そう言う噂は後を絶たないはずなんだけどな」

「本当だって!今まで“女神”だなんて呼ばれたこともない!」


カイルは身を乗り出して、アキに詰め寄った。

アキは聞く耳も持たずに、考え込みはじめる。


「・・・・・・・背中、はどうだ?」

「・・・・・・・・・は、・・・・・・・?」


アキはカイルを見下ろしながら、単調に言い放った。


「これは、リゲの情報だ。“女神”はある日怪我をしたらしい。後ろから襲ってきた海賊の太刀を、受けたとか。

何でも、その場にリゲが居たらしいから、そう言い張っているんだがな」

「は・・・・・・・・・?」


カイルはベッドの端に寄せられていた、サーベルを手にとった。


「・・・・・・何のつもりだ」

「まさか、見る気なの?」

「お前も“女神”の疑いが晴れて、一掃だろ?」


カイルはサーベルを右手に構えた。


「・・・・・アキ、有り得ないよ、それはできない」

「背中を見ることがか?執拗に嫌がるな」

「当たり前でしょ?!嫌なものは嫌なの」


アキが腰に刺さっている鞘から、剣を引き抜く。

カイルは座ったまま、サーベルを構えた。